メアリー・カサットの少女画が死ぬほど可愛い

 国立新美術館で開催中のワシントン ナショナル ギャラリー展にメアリー・カサットの作品が出品されています。といってもメアリー? カサット? だれ? という人が大半だと思いますので、僭越ながら私がカサットの描く少女の可愛さを紹介させていただこうと思います。ロリコンから主婦、熟女好きまで必見です!


 メアリー・カサットは、西洋美術史の本なんかでは、印象派画家リストの5番目くらいによく名を連ねている女性画家です。アメリカ出身の彼女は、画家を志してのちはフランスにわたり、踊り子の絵で有名なドガと知り合いました。彼の誘いによって、彼女は印象派の展覧会に参加します。ただ、彼女が印象派に参加した理由としては、サロンで作品が評価されなかったためという面もあったようで、画風は一般的に印象派と聞いて想像するようなものとは少々違うかもしれません。女性や子供を優しい視点ながら力強いタッチで描いた作品が特徴です。
 とまあこの辺はウィキペディアが詳しいので興味のある方はどうぞ。
 ここからは出品作を見ながら、その可愛さを堪能していきます。


 Child in a Straw Hat by Mary Cassatt
 まずは私の一押し作品である《麦わら帽子の少女》。
 首を傾けてこちらをそっと見る少女の表情が、そのままでキャンパスに描かれています。どこかの本では「不審の表情」と書いてあったのですが、不安のような、不機嫌のような、そして瞬きしている間に変わってしまうような、一瞬の表情だと思います。
 ルノワールのムチムチうっふん濃厚な肖像画にウンザリした方はこの絵を見るといいんじゃないでしょうか。脱臭も誇張もされてない、生きた少女画だと思います。


 Little Girl in a Blue Armchair by Mary Cassatt
 次に、彼女の代表作であり、この展覧会のポスターにも使われている《青い肘掛椅子の少女》。
 この作品の製作にあたってはドガの助言し筆を加えたのですが、パリ万国博覧会への出品を拒否され、彼女はショックを受けたそうです。
 手足の運び方やまくれるスカートなど、見れば見れるほど彼女の観察眼の巧みさが分かります。
 実物を見てみると、意外と椅子や犬が効果的なことに気づきました。前景では、落ち着きのない少女と静かに眠る犬との対比。その後ろでは、四つの椅子が所狭しと並べられ、それが窓からの日差しを遮ることで、なんとなく退屈で窮屈なリズムが生み出されているように感じます。


 Children Playing on the Beach by Mary Cassatt
 最後に、《浜辺で遊ぶ子どもたち》を紹介します。
 彼女の子どもへ向ける優しいまなざしが感じ取れる作品だと思います。画法としては比較的アカデミックなんですが、頬や腕にはぷくぷくと柔らかい肌の感触が感じられます。いかなるぷにキャラも出せなかった触感がここにはあります。


 この展覧会では上記油彩三点のほか、素描や版画も数点出品されています。
 ちなみにカサット作品以外も印象派が充実していて、マネ、モネ、ルノワールゴッホゴーギャンはじめ有名どころはだいたい揃ってます。カサットの展示されている横には、同じく印象派の女性画家、エヴァ・ゴンザレスとベルト・モリゾの作品も展示されていて、そのスタイルの違いを楽しむのも一興ではないでしょうか?
 そんなわけで、ワシントン ナショナル ギャラリー展は国立新美術館で9月5日まで開催されています。これは行くっきゃない。
 ワシントンナショナルギャラリー展